近年ではインターネットに接続するために物理的な回線を引くのではなく、携帯の回線やWiMAX回線を利用してインターネットをすることがかなり浸透してきたと言えます。
一昔前は1.5Mbps以上の速度でインターネットをするためにADSLを契約し、10Mbpsや20Mbpsで精一杯という時もありました。現在もADSL回線の世帯は多数残っており3年後、4年後のADSL終了に合わせて光にするかどうか検討している家庭も多いと思われます。
そこで日本のWi-Fi環境でメジャーな存在となったWiMAXは、主に都市部で活用されており、固定回線の代替のようにして使用するユーザーも多数います。
しかしWiMAXを使っていて、「ここは改善しないといけないのではないか」とか、「WiMAXのここが不満なんだよね」とか、「でもなんだかんだWiMAXに落ち着いている」というWiMAXユーザーもいるかもしれません。
では新規でインターネットをする場合、WiMAXのメリット・デメリットは何か、固定回線のメリット・デメリットは何か検証してみたいと思います。
両者の良いところ悪いところを検討し、もしWiMAXをメインで使う場合のチェックポイントを挙げてみます。
目次
WiMAXのメリット
モバイルルーターなら場所を選ばない
これは指摘されなくても誰でも分かっているメリットです。
昨今のネットスタイルは、よりノマド的なスタイルが求められ、使うシーンを選ばないニーズは益々高まっています。
なぜかというと、モバイルインターネットが重要とされる背景にはスマートフォンがLTEかWi-Fi接続を前提にしているからです。
スマホにLANケーブルを挿してインターネットをする機会はほとんどありません。なのでテザリングをするにしろ、カフェやファミレスでPCを使ってネットをするにもWiMAXが第一候補に挙がっています。
そしてビジネスでもWiMAXを持ち歩いて仕事をしているユーザーもいます。個人でも仕事でも、携帯に合わせてインターネット接続する手段がWiMAXになっているユーザーが多いです。
2~3日でインターネットを始められる
店舗受取なら即日というケースもありますが、概ね申し込んで2~3日もすれば端末が送られてくるので工事を待つ必要はありません。
そのうえ、速度は遅くても10Mbps前後を確保しているので、気軽にブロードバンドができます。
エリア内なら安定運用できる
WiMAXはUQコミュニケーションズ運営なので信頼性は担保できると言えます。
提供エリアは携帯キャリアにかなわないと言えますが、エリア内なら基地局が稼働していればインターネット接続できないという場面はほとんど見られないでしょう。
もちろん携帯回線も障害で繋がらない場合があるので、WiMAX回線も100%の可用性があるかというとそうはなりませんが、ネットワークの信頼性は高いと言えます。
そしてUQコミュニケーションズが運営すると同時に、MVNO事業者も大手ISPや老舗ISPがWiMAXを提供しているので、エリア内であればWiMAXを選ぶとまず失敗しないと言えます。
WiMAXのデメリット
電波が届きにくい
契約したユーザーが誰でも抱える問題、それがWiMAXの電波が届きにくくて繋がりにくいケースがある事です。
WiMAXの電波の特性が携帯LTEと異なっており、屋内に入りにくい仕様になっています。
例えば都市部のファミレスの場合でも、窓際の席なら快適だけれども、窓から遠い奥に座るとWiMAXの電波が入らないでau 4G LTEのハイスピードプラスエリア設定にするという場面があります。地下や山間部でも同じ症状でしょう。
なのでどうしても電波が気になる、という人は他のキャリア系ポケットWi-Fiにしたほうが良いかもしれません。
この辺りはUQコミュニケーションズがどの程度力を入れて投資するかによって、今後の評価が決まるでしょう。あまり設備を増強しないならユーザーは当然離れます。
もちろん窓際なら快適にサクサクインターネットができます。
無線だから無制限に使えない
最近たくさんあるデータ容量無制限のWi-Fiサービスでも、実際には著しくデータを使うと制限されるパターンがほとんどです。
固定回線ならデータ容量の心配はほぼありません。
しかし固定回線でも制限がないことはなく、サーバー運用などをして有り得ない量のデータ通信をすると、メールでISPから注意されます。筆者は経験ありませんが以前はそういうことがありました。
なので固定回線でも制限される場合があるのに、無線の電波であれば余計トラフィックの増大に対してナーバスになる必要があります。
モバイルルーターならバッテリーを気にする必要がある
モバイルWi-Fiルーターを長時間使っていれば当然バッテリーがなくなっていきます。
端末の設定がノーマルモードなら連続5時間以上使えますが、家にいてずっとネットをしているとか、テレワークで使っている場合はルーターのバッテリー残量をいちいち気にしないといけません。
充電しながら通信できますが、充電しながらの使用はあまり推奨されておらず、バッテリーに負荷がかかります。
幸い最新のWX06だと電池交換できるので、バッテリーが劣化したら交換して長期的に運用できます。
固定回線のメリット
常時接続だからストレスフリー
常時接続ということは、WiMAXでよくやるモバイルルーターのスイッチをオンにすることやバッテリーを気にする必要もありません。
据え置きWi-Fiルーターが稼働していれば、家にいるといつでもインターネット接続できます。
データ容量も気にすることはありません。Wi-Fiで何GB使ったとか、速度制限とか、くだらないことを考える必要はありません。
いつも光回線が繋がっているなら必要な時にいくらでも情報を受け取ったりアップロードできます。そこにストレスはありません。
速度と安定性の両立でストレスフリー
とにかくストレスフリーの一言です。光回線の速さは有線LANで500Mbps~700Mbps、Wi-Fiルーターを使って200Mbps出ます。
集合住宅では回線の混雑で速度低下しますが、戸建てや小中規模のマンションなら問題ないでしょう。
遅延もなく、接続が安定している。ストレスフリーです。
固定回線のデメリット
光ファイバーの引き込みが割と重厚長大
光回線は最初だけ大変です。工事まで待って、工事そのものも立ち合い工事になることが多いので工事日に家にいないといけません。
開通までに2週間か、それ以上待つこともあるのですぐにネット接続というわけにはいきません。
工事費も無料のISPがありますが、ISPとしては無料は最初の一回で、もし引っ越したら無料というわけにはいきません。
2万近く、あるいはそれ以上かかる工事代を払って、引っ越しすることになったら割とコストがかかります。
移動が大変
前述したように、引っ越しするとまた回線工事をする必要があります。戸建てで住む場所が決まっているならいいですが、賃貸で移動がある場合は光回線の工事が高コスト高負担になります。
ただ、一度回線を引いてしまえばネットライフが快適なのは言うまでもありません。
自宅回線なので使えるのは自宅だけ
これも当然ながら固定回線ならインターネットが使えるのは自宅だけです。自宅に長時間いて作業をするライフスタイルなら快適ですが、仕事や趣味で外出が多いなら、やはりWiMAXを選択するでしょう。
WiMAXの作業スタイルも、外に出てカジュアルにカフェやファミレスで作業できるので、利用シーンではWiMAXに分があります。
身軽さを考えるならWiMAXを検討する
「固定回線のメリットは分かっているけど将来的な話だし、WiMAXでいいや」という人もいることと思います。
実際、持ち運びすることができ、家でも電波が入ればそこそこ快適に使えるので意地でも光回線は引かないという人もいるでしょう。
そのような人たちは「ネット回線どうするか」という思考ではなく、「Wi-Fiどうするか」という思考になっています。
このようなケースならとりあえずWiMAX主体で運用しましょう。
やはり外出先でも作業ができるのはメリットなので、仕事や出張、または旅行でもWiMAXが大活躍します。インターネットを身軽に使うならWiMAXの方が利点があります。
WiMAXのメリットを取る場合の注意点
固定回線は安定しているけど、やっぱり回線を引けないし、スマートにWiMAXの手軽さを選択したい。
このように思うならWiMAXを導入しましょう。その時に注意するチェックポイントは以下の通り。
提供エリアは事前に確認する
WiMAXの提供エリアは事前に確認しましょう。もしエリアなのに電波が入らないなら8日以内にISPを初期契約解除します。
電波が入らないのはUQコミュニケーションズが設備投資していないので品質が上がっていないということです。
エリア内で窓際なら概ねサクサク快適に繋がります。
ルーターの設定を確認する
モバイルWi-Fiルーターは通信モードがスタンダード設定の場合、速度より電池持ちを優先します。そして周波数が2.4GHz接続の場合も速度は5GHzより出ません。
なので速度が速くないと思ったときは、ルーターの設定も、ハイパフォーマンスモード(通信速度を優先)、そして5GHz接続にすれば改善されます。
ルーターは窓際に置く
WiMAXの電波は建物の奥に入らないことが多いので、少なくとも家では窓際にルーターを置きましょう。
電波をキャッチできれば安定運用できます。
LTEオプションは無料のISPを選ぶ
WiMAX電波が入らない場合にau 4G LTEを使うのがLTEオプション。これは1,005円の有料になるISPもあります。
ハイスピードプラスエリアのLTEオプションは無料のISPを選びましょう。
5GHzの電波は屋内と屋外で切り替える
これをやっていない人もいるかもしれませんが、5.2GHzの周波数は屋内のみで屋外では使用が認められていません。
なので屋内で5GHzをつかっていた場合、外に出たら屋外用の5GHz設定にします。
WiMAXか固定回線のどちらを取るかは使い方による
固定回線とWiMAXのどちらが有利かという話は、議論をしても平行線になるでしょう。なぜならWiMAXは基本的にモバイルWi-Fiで電波を使うからです。
無線には一定の制約があります。それは光ファイバーのような物理的なものを使わないで通信をすることから、無線の電波が切れる、または安定しないということが起こりうるからです。
そして電波の帯域は一人で占有できないので、より使い方に気を付ける必要性が出てきます。
しかしヘビーに使わないなら、WiMAXをカジュアルに、スマートに持ち歩くことは一定のアドバンテージがあります。
固定回線と比べてWiMAXで運用するなら、やはりスマートカジュアルに、場所を選ばない利便性を第一に考えましょう。
電波の回線品質向上には、UQコミュニケーションズ公式から改善要望を出すことができます。利用者が声を出せばサービス提供側も動くかもしれません。
上記に挙げたWiMAX運用の注意点を意識して、モバイルインターネットができればネットライフも自由になります。