最近楽天モバイル仮想化ネットワークの情報が出てきたのでさらっと書きたいと思います。
楽天が携帯キャリアになると予想していませんでしたが開始して3年以上経過しました。
日本企業はインフラに強い特徴があります。道路や電気ガス水道など環境整備に力を入れます。
移動通信の場合、ただ基地局を設置して終わりじゃなく電波が輻輳しないように構築・運用しないといけません。
一から構築なら時間も費用もかかる。
現在、ユーザーが気づかないうちに楽天がネットワーク技術を輸出しており、最先端の仮想化ネットワークを世界に売り込んでいるとのこと。
今回は楽天モバイルの完全仮想化ネットワークについて調べてみました。
目次
楽天モバイルの完全仮想化ネットワークを調べてみた
気づいたら楽天モバイルの仮想化ネットワークが何なのか分かるようになっていました。
楽天のネットワークそのものについてユーザーが意識する機会は少ないです。
分かる範囲で仮想化ネットワークについてまとめてみます。
一言で言えば「物理から論理」
仮想化ってよく見聞きするけど一体何なのか…と思う人は多いはず。
実は今、道を歩いている人がスマホで仮想的(Virtual)に色んなことをしています。
スマホだと一台で電話、カメラ、ブラウザ、キャッシュレス決済、動画、音楽、SNS。物理的なものを論理的に実行する。だから仮想的。
PCの場合、MacならBoot CampでWindowsを仮想的に、Windows上でLinuxならかつてVMwareを使い、今はWSLでやる。
で、モバイルネットワークは3G→4G LTE→5Gと専用ハードが必要だったけれども、それをソフトウェアで実行する。
もっと踏み込むとクラウドネットワークはDockerなどのコンテナを使います。やってることはクラウドそのものですね。
管理をWebブラウザでやる
管理もブラウザでできるようです。
LinuxサーバーのWebminやCockpitなどのGUI管理ツールと同じ。だからどこにいても管理できる。
仮想化ネットワークの立ち上げにアクセンチュアが支援したようで、運用も関わっているようです。
Open RANとは
オープンソースという言葉を聞いたことはありますか?
オープンソースとはソフトのソースコードが公開されていて、誰でも仕組みを知ることができます。
一方で、携帯電話はRAN(Radio Access Network、無線アクセスネットワーク)を使う。基地局を使うあれ。
従来のRANは専用ハードとソフトが一体化した機械を使ってクローズドでした。
海外ではノキア、エリクソン、ファーウェイのようなベンダーを1社丸ごと使ってネットワークを構築していると。
それをOpen RAN(O-RAN)で共通の仕組みを目指す。
つまり無線ネットワークのオープン化(オープン化に向けた取り組み)で、専用ハードを使わなくていいんです。
WindowsもLinuxもレノボ、HP、DELL、マウスコンピューター等どんな機械(PC/AT互換機)でもいい。
Windowsそのものはオープンじゃないですけどね。
インターネット自体がTCP/IPなどオープンなプロトコルを使うので接続するデバイスを選ばない。
楽天モバイルが運用コストを削減できる理由はそこにあります。高いシステムを導入する必要がなくなりました(!)。
仮想化の状況
とはいえ仮想化自体は他社もやっています。ドコモとKDDIはAWSを使い、ソフトバンクはDellとVMwareを使う。
楽天モバイルはアクセンチュア、NEC、富士通、インテル、OpenAIなどが見えてきます。
そもそも楽天はライバルAmazonのAWSでクラウドを運用。今は相互に依存していることが多いですね。
ただ楽天はコアネットワークだけじゃなく、RAN(無線アクセスネットワーク)を含めて完全仮想化するのは世界でも前例がないとの指摘があります。
通信障害対応も自動化
楽天の仮想化ネットワークは障害対応も自動化できるようです。
障害の可能性をあらかじめ検知したり通信への影響を最小化できるインテリジェントなネットワークらしい。
楽天モバイルの世界戦略
ユーザーが意識しない内に楽天のネットワーク技術が広がっているようです。
無線ネットワーク技術を輸出
楽天は世界の通信事業者と絡んでいますね。
先日、戦後復興のためにウクライナにも行ったようです。
新興国と言われる地域や、外国で後発の通信キャリアがネットワークを導入する場合に楽天と協業している。
低コストで通信網を構築したいと思ったら楽天を使う動きが見られますね。
衛星通信で音声通話
衛星通信で先行しているのは、あのイーロン・マスク氏率いるスペースXのスターリンク。
スペースXは衛星インターネットを既にやっています。日本ではKDDIが法人・自治体向けにサービス開始。
一方で楽天モバイルと米AST SpaceMobileが2024年末から2025年に衛星通信サービスを提供したいようです。
2023年4月には衛星通信で世界初の音声通話を実現したと発表。
しかもASTは楽天が創業資金を負担したと報道されていて、そのASTを使って楽天は地球から圏外をなくしたいらしい。
アルプスでも南米の秘境でも太平洋のヨットでも楽天モバイルが使えるようにしたいと。
とはいえ地下1500mなら衛星通信は無理ですが、「地上は楽天で」と考えて既に実行してますね…。
Open RANと衛星通信で世界を結ぶ
以上、楽天モバイルの仮想化ネットワークと衛星通信を見てきました。
もう値段の高い専用機械は必要ない。
通信がオープン化かつコモディティ化してきたとも言えますね。
さらに衛星通信。
スターリンクもありますが、ASTと楽天の動きは通信業界がちょっと動揺している様子。
そしてユーザーが気づかないうちに物事が展開されているので、気づいたら状況が変わっているのはネットあるあるですね。
仮想化と衛星で先行する楽天の未来とは
楽天の仮想化ネットワークはスマホアプリで論理的に色々やることに近いことが分かりました。
〇〇専用機械はなくてもOK。
さらに衛星通信の話も活発になっているようです。
そのネットワークと衛星通信をユーザーが使うかどうかは筆者に予想することができません。
既に世界の新興キャリアは楽天モバイルの技術を採用しているようです。少なくとも提携、取引の話は嘘じゃない。
個人ユーザーは楽天を使って何をどうするか。プラチナバンドの話はまとまったので、それを踏まえて上手に活用したいですね。