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合成麻薬フェンタニルで崩壊する米国
筆者が米国フィラデルフィアのケンジントンで合成麻薬フェンタニルによる薬物中毒者が蔓延しているのに気づいたのは2022年の秋。
印象は「不味い」「荒廃している」「終わりが近い」。
酷すぎるのでネットでもすぐに指摘できなくて、情報として出したのは2023年の夏辺りですね。
多くの薬物中毒者が死にながら歩く姿は影響が大きいので中々指摘できない。現実こそが映画などの作品よりもよっぽど酷い状況を伝えます。
米国は製造業の衰退などで1980年代辺りから薬禍が始まったと言われている。
失業や暴力、貧困、病気などで薬禍は徐々に拡大し、2020年に始まったパンデミックによってさらに加速した結果荒廃し切ったようです。
もちろんフィラデルフィアだけでなく、サンフランシスコとか有名な都市で同じような状況。
このことは、不完全で悪い人間社会が持続不可能であり諸問題を解決することができず、神による救いと解決に希求するしかない状況であることを示しています。
日経がフェンタニル輸出の日本拠点を報道
それで先日、日経新聞が中国から米国へのフェンタニル密輸は日本を経由していることを指摘。新アヘン戦争であると。
名古屋に密輸の中継拠点があることが独自調査で分かったようです。
リーダー格の男を追跡したらAmarvelという化学品メーカーと繋がっているFIRSKY株式会社(実質同じ)が名古屋にあり、そこで薬物の集配送や資金管理をしていたと見られる。
SNSでもまたたく間に話題になり、ここでフェンタニル禍がどうしようもない状況を理解した人も多いかもしれません。
調査にOSINTの手法が使われた
この日経独自の調査にはOSINT(オシント:Open Source Intelligence)という手法が使われたようです。
OSINTはネットで一般に公開されている情報を元に情報収集、分析する諜報活動の一種だそうです。軍事的な手法ですね。
政府の記録や書籍、ネットならSNSやWebサイトを駆使して情報収集する。
複数の公開情報を調べ上げ、点と点を結び併せていくように調査するやり方です。この言葉は初めて聞きました。
日経のOSINTは何が行われたか
日経は具体的にどんなものを活用したのでしょうか。
- 裁判所の資料
- ウィーチャット、テレグラム、フェイスブック等のSNS
- ペイパルアカウント
- 法人登記資料
- 中国の企業データベース
- ホテル予約サイト
- 現地取材
少なくとも上記が確認できます。
裁判所の資料を起点にしてSNSでアカウント調査、画像の解析で位置の特定、現地取材を通して名古屋の拠点を解明したようです。
警察の捜査班や麻薬取締局ではなく、日経の取材チームが独自に調査してスクープに繋げています。
オールドメディアの全てが終わったわけではない
最近はオールドメディアの終焉が指摘されていますが、スケールの大きな取材や調査はさすがと思います。
NHKもNHKスペシャルは評価されているし、民放もできる範囲のことはやっている。
確かに報道しないものはたくさんあります。マスコミも色々な情報を選んで配信していますからね。
とはいえ批判されているマスコミとしても意地を見せたいだろうし、受け手としてもメディアが完全に終わったら困ります。
メディアの中でも取材力や調査能力が高いプロジェクトチームがあるので、今回のようなスケールの大きい案件を期待したいですね。