DELLのハイエンドノートPC「XPS」の2024年モデルが発表され、新しい情報が出てきました。
賛否両論を起こしたXPS 13 Plusのリリースから2年。あのPlusのデザインはどうなったのか…と気になります。
今回は一言で言えば「PlusのデザインはそのままでAIに対応し名前を元に戻す」。
XPS 13 Plusは「XPS 13」。つまりPlusをXPSの標準ラインナップにするようです。
出てきた情報をまとめて筆者の所感を追加してお送りします。
目次
新しいXPSは従来の名前でPlusのミニマル路線継承へ
MacBook Proに対抗するプレミアム路線が明確になってきたXPS。
もう10万円以下でXPSを購入することはできないようです。
今回のポイントは以下の通り。
- Plusのデザインを継承
- 名前を元に戻す
- AI路線
Plusのコンセプトを引き継いで名前を元に戻す
メディア各社が報じていますが、今回のリニューアルはCPUがAIに対応してCopilotキーを搭載。AI路線を強化するようです。
Plusのデザインは継承されますがPlusの名前は廃止され、従来のDELL XPSに戻しました。
CPUは最新のIntel Core UltraでNPUが組み込まれている。つまり機械学習専用設計のチップでもあります。
さらに低消費電力によるバッテリー持続時間の向上に期待。
正直、チップは歴代最高性能を誇るらしいです。
同時にサイズは17インチ→16インチ、15インチ→14インチに。つまりMacBook Proと同じにして対抗。
ほかに確認できた更新は以下の通り。
- Webカメラは1080pにアップグレード
- Gorilla Glass 3
- 可変リフレッシュレート
ノートで先行するMacBookを参考にしてDELLなりにブラッシュアップしてるのが分かります。
「気が散る要素を排除し、生産性を重視」
前述の通り、デザインはXPS 13 Plusの特徴であるフラットなキーボードとタッチファンクションキー、そしてフチなしのトラックパッドを継承。
デザインに変更がない理由としてDELLのブログにある紹介文では「気が散る要素を排除し、生産性を重視」とあります。
つまり操作性よりミニマリズム。ディスプレイも狭額縁でスッキリですよね。
視覚的に邪魔になるものを排除した結果XPS 13 Plusのデザインにたどり着き、それが標準に。
そもそもAppleが自然とそれをやっていたのでしょうけど。
とはいえ正直DELLがミニマリストになるのは想定外でした。
AIを強化
前述の通りIntel Core UltraとCopilotキー搭載でAI路線。
正直万人がAIを活用するのか不明ですが、人間の活動が効率的になるんだったらAIは正解。
生成AIでフェイク画像やら情報漏洩やら起きていますが、一方でAIを使ったシステムはもう一般的。
GAFAMのクラウドだけじゃなくて、日本のYahooはコメント処理に、あるいはウェザーニュースのWNIはAWSでAIを使うとか。たくさん事例があります。
個人レベルでもAIで文章や画像、映像を創ってますし、音楽はもう生成AIで作曲してるみたいですね。
いいか悪いかは別。
コストパフォーマンスは期待できない
以前のXPSは10万円以下で購入できてコスパ最高だったのですが、これからは期待できません。
米国で13インチ最小構成が1299ドル。XPS 13 Plusの時も1299ドルだったので値上げしていません。
日本円にすると税抜188,046円(2024年1月10日現在)で、税込206,850円。
1ドル100円だとXPS 13は税抜129,900円なので円安効果が凄い。そして+消費税であることを考慮してください。
これからXPSは少なくとも20万円スタート。円安が進むとさらに高騰します。
まあこれはMacBookにぶつけている価格。
ただ、MacBookより安くなる可能性はあります。
MacBook Air(M2) 13インチのメモリ16GBは1599ドル、対して新しいXPS 13インチが1299ドル。
ちなみに14インチが米国で1699ドル、16インチが1899ドルとのこと。
というわけで新しいXPSの概要でした。
新しいXPSは買いか?
デザインに変化はないのですが新しいXPSは買いなのでしょうか。
XPS 13 Plusの簡単なレビュー
ここでXPS 13 Plus(2022年モデル)のレビューを簡単にしましょう。
筆者は発売から1年ちょっと経過した2023年7月に購入。Core i7がセールになっていたのでゲット。
XPS 13 Plusのメリット・デメリットは以下の通り。
XPS 13 Plusのメリット
- シンプルでミニマルなデザイン
- 従来型よりバッテリーの持ちが向上
- 細いベゼルのディスプレイ
- 静かなタイピング
- 改良された排熱構造
- キーボードの間隔が狭いので他のキーに指が引っかかる
- タッチファンクションキーの反応がよくない
- Windowsのもっさり感(OSの問題)
- 充電55Wは速いとは言えない
ゼロラティスキーボードは見た目がいいですが、タッチタイピングは指がほかのキーに触れる。
つまりタイピングは気を使わないと上手くできないんです。
タッチ式のファンクションキーの反応もよくない。
なのでXPS 13 Plusはデザインも性能もいいんですが入力周りのデメリットは否めず。
特に入力のしやすさにこだわる古参PCユーザーさんにとってXPS 13 Plusは「格好の攻撃対象」笑。
ここら辺、コンセプトはいいけど入力周りの設計が中途半端なのはDELLらしい。
そしてWindowsは使い方によって相変わらずフリーズ。
更新ソフトのSupport Assistは動作が止まる不具合が改善されないのでアンインストールしました。これはOSとソフトウェアの問題。
とはいえ筆者はXPS 13 Plusの挑戦的なデザインとミニマリズムなコンセプトは好きです。
バッテリーの持ちは改善され、細いベゼルでスマート、Core i7だからエンコード性能はいい。キーボードは静か。
ここでキーボードを批判されているのにデザインを変えないでミニマリズムに徹するところもイイ。
あとは、2年後くらいに次期モデルで操作性を改善するかどうか。
デザインの進化が止まったように見えるMacBookより外観の斬新さは評価できます。
新しいXPSは買いなのか
新しいXPSは買いなんでしょうか。誰にとって買いなのか。
ビジネスユーザーはCore Ultra 5を選択できるがキーボードは打ちやすいわけではない。打ちやすさならLenovoのシンクパッドに行くでしょう。
クリエイターはCore Ultra 7のXPSにすることができるが、そもそもクリエイターはマックに行く。
なのでマーケットになるユーザー像は
- 尖ったPCが欲しい人
- 最近のミニマル路線のDELLが好きな人
- シンプルに生産性を高めたい人
- AIを効率的に使いたい人
- オシャレで高性能なWindowsノートが欲しい人
こんな感じですかね。
PCは道具なので、単に操作性だけならシェア世界一のLenovo ThinkPad / ThinkBook辺りがおすすめです。
挑戦的なデザイン性とミニマリズムならDELLですね。
入力周りのデメリットが気になるなら購入はおすすめしませんが、筆者はCore i7のXPS 13 Plusを買って今は満足してますね。
キーボードは打ちやすくないけど静か。無駄を排除したデザインはDELLの気合いを感じる。
確かに気が散る要素を排除して生産性を高める狙いは分かります。
なのでシンプルでオシャレなウルトラブックが欲しいと思ったユーザーにはデメリットを指摘しつつ「買い」です。個人的に。
MacBookの成長が止まる?
依然としてMacBook AirとProは今のユーザーの選択肢です。近年は携帯をiPhoneで始めてPCをMacBookに。
いつの間にかスタバでドヤ顔しながらマックを使うスタイルが構築されましたからね。
一方、反発する形で「マック使うな」が旧Twitterでトレンド入りし、Windowsがデファクトスタンダードであることを思い知らされるユーザーも。
Windows vs Macは終わらない戦い…。
いつの時代も「結局どっちなの」と初心者は戸惑いを隠せません。
とはいえMacBookはタッチキーを止めてデザインの成長も止まったように感じます。
MacBookを見ると変革の文字は見当たらない…。もちろん変える必要がないものは変えなくていいんですが。
XPSがノートPCに新風を吹き込んだように感じるのは筆者だけでしょうか。
ミニマル路線のXPSにこれからも注目
というわけで新しいXPSについて見てきました。
XPS 13 PlusのデザインはそのままにCore UltraとCopilotキーでAIを強化、ゴリラガラスや可変リフレッシュレート、1080pカメラなど細かいアップデートも確認できましたね。
XPS 13 Plusは賛否両論でしたが新しいXPSも賛否両論でしょう。キーボードの微妙な操作性は改善されていないでしょうから。
ここでキーボードの打ちやすさよりミニマリズムを取ったDELLは凄い。
Appleでさえもタッチキーをやめました。
DELLはよっぽど自信があるのかXPSが高評価なのか。
筆者としても「操作性はいいとは言えないけど追従したくなるモノ」になったXPSは5段階評価で4。XPSノートはこれからもウォッチします。