「WiMAXの速度は遅くなっているのだろうか?」
「WiMAXの速度が遅い原因はなんだろうか?」
「WiMAXの速度を速くする手段はあるのか?」
このような疑問に回答します。
固定回線ブロードバンドの需要が一段落してきたとも言える状況の中で、モバイルブロードバンドは今後も拡大する傾向にあると調査会社が言及しています。それだけ今後もモバイルインターネットユーザーが増えていく見通しを立てることができます。
そこで考えたいのはWiMAXの回線速度は遅い場合があるのはなぜだろうか、という疑問です。割と安定した速度を叩き出すWiMAXでも、状況によっては速度が遅いと感じる時もあります。
一方で、携帯キャリアのデータ通信ではデータ使い放題というプランはありません。なぜかというと携帯の電波は有限なもので、トラフィックが増えれば増えるほど回線がパンク状態になってしまうからです。楽天モバイルは無制限を打ち出していますが今後が注目されます。
そのようなわけでWiMAX回線も一定の速度制限措置を図っている状況です。これが使い放題なら回線品質を一定に保つことが困難になるでしょう。
電波を多くの人がシェアすることを想定すると、品質を保つためにある程度制限をかけることが必要になります。
では、状況によってWiMAXの速度が遅い場合はどうすればいいのか。
WiMAXの速度が遅い原因と対処法を解説します。
WiMAXの実効速度
WiMAXの速度は測定したエリア、また、タイミングや電波状況などでかなりバラつきが出てきて、速い場合もあれば遅い場合もあります。
2020年4月現在はコロナウィルスの影響で在宅でWiMAX回線を使用しているユーザーが多いと見られ、回線はやや逼迫している可能性があります。
深夜~午前は割と速い
2020年4月5日(日)午前8時半頃のデータは以下になります。30Mbps以上を確認できます。
2020年4月5日(日)午後1時半過ぎのデータです。15Mbpsを確認しており、日中はユーザーが多い可能性があります。
2020年4月5日(日)深夜1時(翌6日午前1時)のデータです。20Mbps以上を確認しています。
このデータには但しがあって、コロナウィルスで特に東京近郊エリアで外出自粛が呼びかけられている状況も背景にあります。
夜間帯も18Mbpsを確認できる
速度測定をするタイミングやサーバーによって異なりますが、概ね10Mbps程度は確保できている状況で、測定すると18Mbpsを確認できます。
2020年4月5日(日)午後8時頃のデータ
一般的な住宅街でこのような速度を確認することができます。
タイミングによって10Mbps前後の時もありますが、実は全時間帯で体感的にはそれほど遅くはないという結果になりました。
但し筆者の環境では、やはり日中や夜間帯では30Mbps以上の速度が難しいという状況になっています。
外出すると高速になる
上記で述べた速度は筆者の宅内環境なので電波状況も良いとは言えないですが、外出して測定するとWiMAXの速さが分かります。
商店街にあるマクドナルドで測定した結果。44Mbps。
そして車の往来がある通りで電波が良好だと90Mbps以上を確認できます。
WiMAXの速度が遅いと感じる原因
ここでは、3日で10GB以上データ通信をして1Mbpsになる制限ではない、WiMAXの回線速度が遅くなる要因を挙げてみます。
ユーザー数の増加
速度が遅いと感じる原因の一つは、無線のWiMAX回線を利用するユーザーが増えたことが要因として挙げられます。そして2020年現在は、コロナウィルスの影響で在宅でインターネットをしているユーザーも多いと見られます。
UQコミュニケーションズが運営するWiMAX回線は、2016年に2,000万回線に達しています。これはWiMAXとWiMAX 2+回線を足したものです。
それから4年以上経過した現在、さらにユーザーは増えている状況で、今後無線ブロードバンドの利用は一層増加する見込みとなっています。
一方で携帯のドコモ回線は、4G LTEのXiとFOMAを合わせた契約数が8,000万回線となっており、その中にはギガライトの7GB以下で利用しているユーザーも多数いると思われます。
8,000万のユーザー全員が月50GBや100GB使うとなると、携帯の回線は使用不可能になってしまうでしょう。
そのドコモユーザーの回線数と比べて2,000万会員は少ないと感じるかもしれませんが、速度を決定する要因として以下が挙げられます。
- 回線の基地局の数
- ユーザーのネットの使い方
基地局の数は、公式が発表しているデータは2017年に30,000局となっています。
その基地局数に対して、動画などをどれだけ参照するかというユーザーのネット利用方法がWiMAXの回線速度に影響しています。
WiMAXの場合、自宅回線代わりに使用しているユーザーもいるので、WiMAX回線の帯域を大きく使うユーザーも多いです。
家に一つから一人に一つの回線とネット利用方法の多様化
先述したように、WiMAXを自宅回線のように使うユーザーがいて、一人一台端末を持ってインターネットに接続しています。
これは、家庭における一つの世帯に一つの回線ではなく、ユーザー一人に対して一つの回線になります。
このように、以前のインターネット環境は家にブロードバンド回線が1回線でしたが、現在は一人に1回線のケースが多いので、それだけ回線の帯域を使うことになります。
無線の使い方一つ取っても、携帯キャリアの電波を使うか、あるいはUQのWiMAXを使うか、または公衆Wi-Fiを使うのか、ネットの利用の仕方が多様になっています。
その中で、WiMAXは運営する事業者が基本的にはUQコミュニケーションズだけになっているので、ユーザーが使用する帯域幅が分散されない結果となっています。
混雑時間帯のアクセス集中
基本的に、インターネットユーザーは日中より夜間にネットを利用する傾向があります。
なぜかというと、理由は簡単。ユーザーは夜に外から帰ってきて家でネットに接続するからです。
例えばWiMAXの場合、エリア内であればどこでも使えますが、日中に出歩いている場合はネットを利用する時間も短時間で済みます。
ところが家に帰ってくると、ひとまず着替えてご飯を食べてから何をするかというと、Wi-Fiルーターの電源を入れてTwitterを見るか、Youtubeを見る、というアクションになる人が多いです。
現在はこのようなユーザーが多い傾向にあります。特にYoutubeの利用は増加傾向にあるので、夜間帯に動画閲覧をするユーザーが多ければそれだけWiMAX回線も影響を受けます。
それでも、速度測定をすると夜間帯に18Mbpsを確認できるので極端に速度低下しているという状況ではありません。
電波干渉している
WiMAXの端末がWX06の場合にバンドステアリングを利用していると、5GHz周波数帯を使うWi-Fiの電波が多い時や障害物があると自動的に2.4GHzになるので、接続はしやすいけれども速度は遅いということになります。
この二つの周波数帯の速度としては以下になります。
- 2.4GHz→72.2~300Mbps
- 5GHz→WX06は433Mbps
このバンドステアリングは、Wi-Fi利用者が多いカフェや、集合住宅で隣家のWi-Fiルーターの電波が多いと2.4GHzの周波数で接続する可能性があります。
ただ、バンドステアリングの場合、クライアントPCやiPhoneではどの周波数で接続しているか確認することができません。
手掛かりになるのは、以下に掲載したWindowsのネットワーク情報の画像を見るとリンク速度が変化していることを確認できます。
上の433Mbpsは5Ghz接続です。下の画像はリンクが13.5Mbpsなので、2.4GHzの周波数で接続しているケースがあります。但し2.4GHzの目視確認ができません。
なので単に5GHzで速度低下しただけの可能性もあります。いずれにしろ、電波干渉によって2.4GHzの周波数を使用するならリンク速度は下がります。
また、クライアントPCやスマホのアンテナの本数によっても速度は変わります。
電波が届きにくい場所は遅い
集合住宅で高層階の部屋などは、地上から高いほど電波が弱くなります。または、基地局から遠い場所にいる場合です。
そして宅内の場合は、家の壁が原因で速度が低下します。ルーターを窓際に置くなどの対策があります。
電波が弱ければそれだけリンク速度も下がってしまうので、速度が低下する懸念があります。
WiMAXの速度が遅い場合の対処法
WX05とWX06のおまかせ一括設定は「通信速度を優先」設定にする
WX05やWX06は、おまかせ一括設定がスタンダード設定の場合下りの通信速度が220Mbpsになり、電池の持ちを考慮した設定になります。
おまかせ一括設定を「通信速度を優先」にすると、下り通信速度は440Mbpsになります。
トップ画面をスライドさせておまかせ一括設定を選択する
「通信速度を優先」を選択する
このように、スタンダード設定は通信速度220Mbpsで速度が半分になる可能性があるので、「通信速度を優先」設定にすれば回線速度は通常の440Mbpsで接続できます。
W05やW06などのファーウェイ製端末は、パフォーマンス設定からハイパフォーマンスモードに設定します。
いずれもバッテリーの持続時間は短くなります。
Wi-Fiの周波数帯域を5GHzに設定する
電波干渉の項目で述べたように、2.4GHzの接続だとリンク速度が最大300Mbpsになるので、440Mbpsの5GHz接続に変更します。
WX06を例にすると、まずトップ画面をスライドさせてクイックメニューを選択します。
Wi-Fi周波数を選択する
2.4G,5G個別を選択する
5GHz(屋内)か5GHz(屋外)を選択する
同様にW05やW06は、設定>通信設定>Wi-Fi設定から、5GHzモードに設定します。
以上が440Mbpsの5GHz設定になります。速度優先設定と同様にバッテリーの消費は早くなります。
宅内ではルーターを窓際に置く
家でWiMAXを使う場合、モバイルルーターでもホームルーターでもできるだけ窓に近いところにおきましょう。その際、床からある程度の高さをつけるのもいいです。
なぜ窓に近いことがいいかというと、WiMAXの電波は高周波数帯で電波が遠くに伸びにくい仕様になっていることから家の壁を電波が通過しにくいからです。
窓の近くにルーターを置くと電波受信が安定し、高速化にも影響します。
モバイルルーターはクレードルを使うと安定する
モバイルルーターは普段机の上などに置くときは寝かせて置きますが、クレードルを使うとルーターを立てて置くことができ、電波の受信も安定します。
電波受信状況は通信速度にも影響を与えるので、クレードルを利用するのも手段の一つです。
接続デバイスを一つにする
もし複数台のデバイスで同時に接続すると、速度が台数分に応じて分割されてしまいます。
高速を求めるならWi-Fiルーター1台につき1台のクライアントで接続します。
固定回線代わりに使っているなら光回線を検討する
これは最終的な手段になりますが、場所を選ばないというWiMAXのメリットの一つを手放して、固定回線の光ファイバーに切り替えることを検討します。
光ファイバーの通信速度と安定性は無線とは違うので、速度重視なら自宅を固定回線にして、外ではスマホのSIMでテザリングすることを考慮できます。
光回線が高いかというと、月額料金3,600円のプロバイダもあります。
なので光回線が運用しにくいかというと、そうでもないです。住まいの環境が落ち着いているなら光回線を引くのも解決策の一つです。
多くの人がシェアする電波を工夫して使う
冒頭にも述べましたが、無線の電波というものは有限なものです。
一つの基地局から出た電波を、複数のユーザーが共有して使う。この方式は無線だとスタンダードで、5G携帯でも同じです。
5Gの電波だと接続端末数が100倍になるという情報もあるので、帯域を有効に使うことができます。
しかし、5Gの全国展開がいつになるのか分かりません。さらに5Gの電磁波は人体に対する影響から健康面で懸念がでています。世界では5Gの電波を規制しようとする動きもあります。
WiMAX回線の速度が遅いケースがあることは、ユーザー数の観点でも、速度測定の検証結果からも確かに存在します。
しかし極端に遅くなっているかというと、そうでもなく、WiMAXが手軽に使えるブロードバンドというのは確かです。
コロナウィルスの影響でインターネットに接続する時間が多い状況が改善すると、WiMAXの速度も変化する可能性があります。
当サイトもWiMAXの回線速度を注視していきますが、速度改善の対処法を実施して、可能な限り有効に電波を利用したいと思います。