現在、未だかつてないほど人手不足に悩まされている企業が増加しています。特にIT業界の人手不足は空前絶後で厳しいようです。
何しろエンジニアの絶対数が少ない。以前エンジニアをやっていた人も別の仕事を始めたり、また少子高齢化で労働人口の減少が加速度的に進んでいるからです。
そして日本のIT業界の重層的な構造問題は解決不可能。ITの長時間労働はその仕事の複雑さから短時間で終わらせることはできません。
そこで今回は「IT業界の人手不足が永遠に解決できない本当の理由」を踏み込んで解説していきます。
目次
IT業界の人手不足が永遠に解決できない本当の理由
IT業界の人手不足が永遠に解決できない本当の理由は以下の通り。
- 日本の商習慣
- 技術が共有できない
- 案件によって違う労務環境
- トラップが多い
- 変化が終わらないITの特性
- 人口減少
一つ一つ見ていき、本当の理由を解説します。
日本の商習慣
既にお分かりのように、日本の商習慣にまず原因があります。
日本の商習慣の特徴に多重請負構造や系列化(グループ経営)といった「階層」がよく見られますね。
この階層構造で仕事を分担する場合、お金を払って仕事を委託する発注者の企業の力が強い(米国などでは発注者と受託企業が対等の関係にあることが多い)。
委託→再委託→再々委託のような下請け構造はあらゆる負担が下請けに行くので、エンジニアが下請けの中小企業で働きたいと思わなくなります。
単純に報酬が低くなるとか、労務環境が悪くなるとか、分かりやすい形で弊害が出るので働く人は不足していきます。
技術が共有できない
企業は他社との競争で独自仕様のシステムを開発したり使う技術が異なるので、一つの技術や経験が他の案件でそのまま通用しないことがあります。
プログラム言語の違いだけでなくその会社の流儀とかありますよね。
そして現場の作業が属人的になって技術が共有されない。エンジニアは自分の持っている技術を人に教えたくないと思いがち。
さらにかつてあった「技術より管理能力」の風潮も影響しているかもしれません。
なので、技術力のあるエンジニアはどんどん不足していくのです。
案件によって違う労務環境
ITの労務環境は現場によって違うので、人がいなくて管理もされていないなら仕事は長時間労働が前提。
開発なら納期を死守するために全力で朝から晩まで働くことになります。
運用保守はワンオペが多くなる。シフトの監視オペに人件費を増やせない。
作業内容や職場の雰囲気、働きやすいかどうかはエンジニアにとってある意味ギャンブル。扱いや待遇が悪いなら働いてくれるエンジニアは減少していきます。
トラップが多い
ネットやアプリを使っていると、勝手にオプションが有効になっているとか料金割引のための条件が複雑とか思いませんか?
ITを名乗る企業がただ派遣でピンハネやってるだけとか、求人広告の内容が嘘、報酬不払いなどトラップが多いですよね。ネット通販は割引クーポンなしで買い物すればクーポンを適用しなかったユーザーが悪いことにされます。
ITに限った話ではありませんが、やたらと仕事ぶりにトラップが多いのも人が離れていく原因。
変化が終わらないITの特性
これはご存知の通り。
今はやれAIだChatGPTだと言われていますが、少し前はメタバース、VR/AR、Web3、○○ペイ、フィンテック、5G言ってましたよね。
ITはトレンドがすぐに変わりますし使う技術も変化します。変化が終わらないのでエンジニアが足りる日は永遠に来ないでしょう。
AIなどの技術はレベルが高くなればなるほど技術者の絶対数は不足します。
つまり、1億総ITエンジニアにならなければ解決しないのです。
人口減少
これも語られていますよね。
以前は1年で50万人減少していたのが、最近(2023年)の発表によると1年で80万人減少しているようです。
政令指定都市レベルの人口が1年で消滅するので就労人口も消滅していき、ITエンジニアになる人も減り続けていくでしょう。
つまり、前述の通り1億総ITエンジニアにならない限り永遠にIT業界の人手不足は解決しないのです。
IT仕事の選び方
ITインターネットは今や必要不可欠で重要ですよね。
人手不足の中、もしITの仕事をしようと思った場合どんな風に働けばいいでしょうか。
求人広告や案件の内容には嘘も多いので注意。自分に合った働き方をしたいですよね。
高額報酬で楽なものはない
高単価の案件で楽なものはないと思っていいでしょう。
報酬が高い理由は
- 難しい
- 作業量が多い
- 人が少ない
- 時間がかかる
大体こんな感じ。
もちろんエージェントが優良で引かれる手数料が少なければ報酬が高いこともあり。
なので、作業内容の詳細やチームのメンバーは何人とか、よく話を聞いて案件を選択した方がいいですね。
長時間拘束を避ける
最近は働き方改革の影響か、稼働時間が少ない案件も増えているようです。フリーランスで週2~3日のような働き方も可能。
もちろん稼働時間が少なければ報酬額も低くなります。
あるいは、フルタイムなら残業なしで帰ることができる運用保守案件ですね。
とはいえ、ワークライフバランス重視の働き方を目指すなら激務の案件を避けることが重要。仕事の時間を抑えて心身ともに健康なライフスタイルがいいですね。
自分に合う分野の案件
ITと言ってもどんな分野で作業をするかよく検討しましょう。金融、交通、生産とゲームなどはまったく違う分野。
分野ごとに現場のノリも変わります。
どんな目的のための開発や運用なのか考え、不適切な案件と思ったら辞退しても構いません。
報酬が高めで稼働時間が少なく社会性の高い優良案件…みたいな都合のいい案件は少ないですが、自分に合わない仕事をしてもキツいだけ。
優良なエージェントに相談して転職なりフリーランス案件を選ぶなり、気持ちよく仕事したいですよね。
人手不足は永遠に解決しないがITはなくならない
AIがプログラムを自動生成できて全自動で組み立てられるならエンジニアは不要。しかしそうなっていないようです。
しかも日本の商習慣は変わりませんし人口はどんどん減少していく。
IT業界の人手不足は解決が難しく、このまま2025年の崖に向かっていく大変な時代。
とはいえ、ITインターネットは最後まで生き残るので仕事はなくなりません。これからますます情報処理の必要性が高まっていきます。
もしやるならワークライフバランスを重視して自分に合った案件で気持ちよく仕事しましょう。