「ありがとう楽天モバイル」
「楽天モバイルがなかったら携帯料金は高いままだった」
そんな声も聞こえてきそうなくらい、楽天モバイルが携帯業界に与えた影響は大きかったかもしれません。総務省や政府からの要請で、携帯キャリアのオンライン専用ブランド投入により携帯料金の値下げが実施されていますが、3,278円という値段は楽天モバイルが先行して実施したもの。
その税抜3,278円で挑戦を挑んできた楽天モバイルは、3大キャリアの値下げに対抗する形でさらに値下げを踏み切り、2021年1月に段階制の新料金プランを発表しました。
※2022年6月で0円プランは廃止されました
今回は楽天モバイルの新料金プランを解説するとともに、新プランのメリット・デメリットや評判なども交えて、トータル的に新たな楽天モバイルの実像に迫りたいと思います。
目次
楽天モバイル新プラン発表でもう限界な安さに突入へ
楽天モバイルはもう後がない、楽天モバイルは窮地に立たされている。最近そんなことを言う評論家が多いです。エリアが狭いので楽天モバイルは厳しいのだと。
その見方は本当なのでしょうか。新プランがユーザーに与える影響や3大キャリアにどのような影響をもたらすのかという点も含めて、楽天モバイルの新プランにどのようなメリットがあるのか解説します。
楽天モバイルが発表した新プランは段階制料金
楽天モバイルが2021年1月に新プランの発表会を実施し、3,278円だけだった料金プランを段階制の料金にして、1回線目でデータ通信量が1GB未満の場合は月額料金0円となる驚きの発表会となりました。
※2022年6月で0円プランは廃止されました
楽天モバイルの新料金プランは以下の通り。プラン名はRakuten UN-LIMIT Ⅵです。
Rakuten UN-LIMIT Ⅵ | ||||
データ通信量 | 3GBまで | 20GBまで | 20GB~無制限 | |
月額料金 | 税込1,078円 | 税込2,178円 | 税込3,278円 |
段階料金制の0円は廃止、3GBまで1,078円から始まり20GB2,178円、20GBを超えるデータ通信は無制限であり、これは2,980円(税込3,278円)であることは変わりません。
他キャリアの無制限プランは税込7,000円を超えるので、半額以下の料金となります。
他社無制限プランとの比較
他キャリアの無制限プランとの比較を見てみます。
キャリア | NTTドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク | 楽天モバイル |
プラン名 | 5Gギガホプレミア | 使い放題MAX 5G/4G | メリハリ無制限 | Rakuten UN-LIMIT Ⅶ |
5G対応 | 〇 | |||
データ量 | 無制限 | |||
月額料金 | 税込7,315円 | 税込7,238円 | 税込7,238円 | 税込3,278円 |
明らかに楽天モバイルは他社の半額以下なんですね。よく20GBプランと比較されていますが、比較対象は無制限プランでないといけません。無制限プランだと価格差は歴然としたものです。
ただ実際には、ahamoなどの20GBプランと比較するユーザーが多いので、楽天モバイルは段階制料金にしたというわけですね。
どうして1GB未満は月額料金0円にしたのか
※2022年6月で0円プランは廃止されました
楽天モバイルの中の人はサービス開始の時から1年無料が終わった時の対策を考えていたようです。建前としては日本の家計を支えるですが、楽天モバイルの中の人の本音は、他社の値下げによって解約するユーザーが出ることを防ぎたいのは明らかですね。
ただ中の人は、楽天モバイルだけでなく楽天グループ全体で売上をカバーできると言っているようなので、楽天モバイルユーザーが通販やカードなどで楽天経済圏にお金を落とせば問題ないそうです。
事実、最近はポイントで携帯料金や電気料金などを払ってしまうユーザーがいるなど、楽天経済圏に移行するユーザーは多いようです。
ただ、事業会社1社に消費を集中すると企業による市場の独占に繋がるので個人的にはあまりおすすめしませんが、ユーザーにメリットのある消費の仕方になるとも言えます。
ポイントなどをお得に使いこなす消費行動は賢いと言えます。年齢や位置情報といった情報を送信することになりますが、企業のマーケティングは消費者に還元されるのでメリットの方が大きいです。
月額税込2,178円以下になる人が多い
20GB未満は税抜1,980円、つまり税込2,178円なのですが、大多数の人がこの料金になる可能性が高いです。というのは、前から携帯のデータ通信は7GBくらいで収まっている人が多いので、少し動画などを見る程度なら1か月20GB未満で済むからです。
動画というのは大量にデータ通信するのかと思いますが、動画配信サイトにスマホで接続した場合のデフォルトの画質はSD 360pなので、1時間で300MB程度しか消費しないんです。
高画質のHD 1080pにすると1時間で3GBくらいになりますが、スマホはSD画質でも大抵OKですね。なので楽天モバイルでも月額税込2,178円以下になる人は多い。
ですが、自宅で光回線の代わりのように使い、動画やビデオ会議などでデータ通信量が多ければ当然20GB以上の3,278円になりますね。
筆者も光回線を使って月間100GBを超えるような使い方になっています(2022年9月現在)。
楽天モバイル新プランのメリット・デメリット
楽天モバイル新プランのメリットは、ズバリ月額料金が安くなること。
デメリットは、デメリットというより注意点ですけど、1GB未満0円が1回線目のみということ。楽天のIDが同一であれば1回線目を解約して2回線目を新たに契約するとしっかり税込1,078円かかります。
3大キャリアはもう楽天モバイルのマネをすることができない理由
NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクのメインブランドは、事実上楽天モバイルに無制限プランの価格で対抗することはできないでしょう。理由は以下の通り。
- キャリアは従業員と販売代理店の人件費が膨大である
- 研究開発費が膨大である
- 広告宣伝費が膨大である
- 運用保守にコストがかかる
- キャリアとしてのプライドがある
一言で言えば、重厚長大になった3大キャリアは、楽天モバイルのようにサービスやサポートをミニマルにすることができないからです。設備も、コストがかからない仕様にすぐに変更できるわけではありません。
なので3大キャリアはahamo、povo、LINEMOに力を入れていくしかありません。これらはキャリアのメインサービスではなく、サブ的な廉価版サービスです。
3大キャリアが無制限プランを税込3,278円にするには、システムや人員を再構築して、いままでの重厚長大な古い体制を圧倒的にミニマルに作り変えるしかありません。
そして3大キャリアはプライドが高いですから、そう簡単に格安SIM事業者のような振る舞いに移行することはできないでしょう。携帯の電波そのものを運用する必要もあります。
eSIMを使って無制限のサブ回線にする人が多くなる
楽天モバイルは楽天回線エリアだとメインでも使えますが、今のところはサブにしておきたいというユーザーが多いと思います。
その場合、1,000円以下の格安SIMを音声にして、データ通信は無制限の楽天モバイルにしますよね。
eSIMは、そういう時に重宝します。楽天回線エリアが広くなったり、楽天モバイルがプラチナバンドを取得すればメインに昇格することもできます。
サブとしてeSIMに楽天モバイルを入れておけば、旅行などの外出の時にモバイルデータ通信を多めに使うケースに対応できますね。
新プランへの移行は自動で行われる
新プランであるRakuten UN-LIMIT Ⅵは、4月1日以降、順次自動的に移行するようです。なので、既存ユーザーはそのまま待っているだけでいいです。
Rakuten Linkで通話料無料や低速モードは変わらない
Rakuten UN-LIMIT ⅥはRakuten Linkを使えば通話料無料であること、そして低速モードもそのまま有効です。
楽天回線エリアは順次拡大している
楽天回線エリアは順次拡大しているのでエリアをチェックしてから申し込みましょう。2021年2月現在では、関東だと埼玉のさいたま市より北、例えば鴻巣(こうのす)、北本、幸手あたりまで楽天回線エリアが伸びています。
※2022年3月末時点で楽天回線エリアは人口カバー率97%を突破
もしパートナー回線の電波も掴まないなら、クーリングオフすることも可能ですよ。
楽天モバイルありがとう
昨今の携帯料金値下げの流れを作ったのは楽天モバイルであることは明らか。ahamoではありません。楽天モバイルのMNO参入により他キャリアのオンライン専用ブランドが誕生しています。
元々MVNOだった楽天モバイルがMNOとして強気に攻めているわけですから、かつてのソフトバンクのようにNTTやKDDIの牙城を崩す(崩せていませんが)ことがあるかもしれません。
いずれにしろ、携帯キャリアは特権的な思考になっていたのは事実。そこを楽天モバイルが市場に参入してきたので、これからはユーザーが都合よくキャリアを使えばいいだけ。高コスパに気分の良いモバイルライフを楽しみたいものです。