「ドコモ光でインターネットをしているけどなんとなく速度が遅い」
「ネットの速度が遅いのはドコモ光に原因があるのだろうか」
「ドコモ光が遅いと感じるならどうすればいいんだろう」
このように感じる方がいるかもしれません。
ドコモ光はNTTドコモがNTTフレッツ光を利用した光コラボレーションサービスで、最近ではかなり利用する方が多くなってきました。
1GbpsでマンションタイプAなら4,000円という、中程度の料金設定になっています。
元々スマホとのセット割で割安感を出して販売しているので、利用者もかなり増加したと思われます。そして今後の予測としてもFTTHの利用者数は増加の予測がされています。
そんな中で前述した「ドコモ光は速度が遅いのか」という問いがあります。実際に速度が遅いと感じる事例はどういったものがあるでしょうか。
ドコモ光に限らず光回線はどのような理由で速度が遅くなるのか。速度が遅い場合の対処法はあるのか。
このような疑問にお答えします。
目次
ドコモ光の回線速度が遅いと感じる5つの理由
結論から言うと、ドコモ光だから光回線の速度が遅くなるということはありません。
ドコモ光に限らず、NTTの光回線を使用する事業者はNTTフレッツ光ネクストが使うNGN(Next Generation Network)というネットワークを利用しています。
ドコモ光だけではなく、フレッツ光回線を利用する光コラボのソフトバンク光でもNGNを通ります。そして、ドコモ光はどの事業者を選んでもNGNを通ります。
なので以下の光回線はどれを選んでもフレッツ光が使うNGNを利用しています。
- フレッツ光ネクスト
- 光コラボレーション(ドコモ光、ソフトバンク光、NTTを使う回線各社の光)
このようにNTTフレッツ光回線が使うNGNを利用した光回線は、どの回線を選んでも同じNTT回線を経由することになります。
ここではドコモ光が遅いと感じる代表的な5つの理由を紹介します。
1.そもそもドコモ光で使用するNGN網にインターネットユーザーが多い
先述したように、NTTのフレッツ光を利用した光回線は全てNGNを通ります。
調査会社のMM総研が発表した数字によると、フレッツ光とコラボ光の利用者数は合計で2,000万件を超えています。
これは先ほどのフレッツ光ネクストの件数と、光コラボであるドコモ光やソフトバンク光などを合わせた合計です。
この2,000万会員がNGNを使っています。
ドコモ光は当然NTT系列なので、フレッツ光ネクストのNGN網以外のバックボーンネットワークを使うことはありません。NTT東西が運営するこのNGNは、報道によると回線増強がされています。
NTT系であるOCNを運営するNTTコミュニケーションズなども、回線増設を行っているプレスリリースを出しています。
各社もユーザー数に応じて回線の帯域を確保しているので、極端に速度が落ちることはありません。
ですが、フレッツ光ネクストが利用するNGN網にインターネットユーザーが多いことは事実と言えます。その中で、ドコモ光も同じNGN網を使っている状況です。
2.集合住宅だと遅いと感じるケースが多い
一般的に速度が遅いと言われる原因で一番考えられる要因として、集合住宅で光回線を共有しているケースがあります。
集合住宅の場合は光回線を共有している、すなわち電柱からの一本の光ファイバーを複数の世帯で共有するため住宅の規模に速度が左右されます。
これは、住宅の世帯が多ければ多いほど速度低下の要因になります。
例えばアパートでドコモ光を使う場合を考えてみます。10世帯程度がアパートに入居していて、そのうち半分の5世帯が光回線を導入していれば、同時に通信をした場合一つの回線の帯域を5分割することになります。
そして100世帯が入るマンションを考えてみましょう。この場合、半分の50世帯が光回線を導入していれば、同時に通信をすることを想定すると一つの帯域を50分割することになります。
要するに理論的には、同時にインターネットをした場合、速度が50分の1になります。
つまり、昼に実行速度が500Mbps出ていても、夜に50世帯が同時に通信すれば、理論的に50分の1の10Mbpsになります。
もちろん複数の世帯が同時に通信を開始して混雑する(輻輳という)ということは、混雑する状況で必ず通信帯域が50分の1になるわけではありません。通信を開始すれば、通信を終了する確率もあるからです。
一つ確実なのは、集合住宅は世帯が少ないマンションやアパートの方が、速度的に有利であると言えます。戸建てだと少なくとも電柱まではネットワークの帯域が分割されません。
そのようなわけで、ドコモ光ではなくても集合住宅であれば速度低下の懸念があります。
3.遅いと感じるユーザーはネットの使用時間帯が固定されている
前述の集合住宅のケースでは、複数の世帯がアクセスを試みるとネットワークが混雑すると述べました。
それはどの時間帯に起こりやすいと言えるでしょうか。
働いている方は夜勤の場合を除いて、普段多くの人が日中家を空けているか、家にいても動画の視聴は夜にする、という家庭が多いと言えます。要は、夜間帯にアクセスが集中するのは当然です。
インターネットユーザーが多いNGN網で、かつ集合住宅に住んでいる場合、人が多く接続する夜間であればその分ネットワークの帯域が分割されて速度低下してしまうのは必然と言えるでしょう。
なのでネットを使用する時間帯が夜に固定されていれば、速度が遅いと感じるのも無理はありません。このことはドコモ光ではない他の光回線にも同じことが言えます。
4.そもそもサーバーにアクセスが集中している
アクセスが多い時間帯に同じサーバーに接続を試みると、速度が低下します。
スピードテストに使うサーバーはアクセスが集中したり、データセンターの環境も特に統一されているわけではありません。
これは例えば、都心に向かう電車に似ています。
大都市にある交通機関で最も多く人が利用するのは、都心へ向かう路線の電車です。
ここでタクシーを使うという技については触れません。あくまでも電車です。
この都心へ向かう電車は、同じ方向を目指して多くの人がその電車を利用します。すると電車遅延が発生したり、ひどいと電車が止まります。
このように、サーバーでも一つのドメインで分散化されていないサーバーであればアクセスが集中し、速度が低下しているように見えます。
Googleのような全世界からアクセスされるようなサーバーは、データセンターの中で無数のサーバーに分散化されています。
さらに現在は仮想サーバーによって論理的にサービスを提供します。
なのでサーバーが大規模に増強されていないとしたら、サーバーにも速度低下の原因があります。
5.LANケーブルやWi-Fiの環境が古い
ドコモ光で提供される光回線は1Gbpsです。
この1Gbpsは、有線の場合に使用するLANケーブル、つまりイーサネットのカテゴリが5eか6でないと1Gbpsに対応していません。カテゴリ5までは速度が出ません。
さらにPCではネットワークインターフェースも1Gbpsに対応している必要があります。
そしてWi-Fiは、IEEE802.11ac規格に対応していないと1Gbpsの速度を活用することができません。
Wi-FiがIEEE802.11nなどの以前主流だった規格は、1Gbpsの速度を思うように出すことができません。
しかしIEEE802.11acでも、多くのクライアントPCやスマホは2ストリーム866Mbpsまでの速度までしか対応していません。
なのでWi-Fiであれば有線LAN以上に速度が低下します。
以上のように大規模な集合住宅で、夜間帯に、かつWi-Fiを利用した通信であれば、ドコモ光ではなくても速度が低下する懸念があります。
ドコモ光が遅いと感じた時に取れる方策
有線LANやWi-Fi環境を見直す
前述したように有線LANのLANケーブルにはカテゴリがあります。
古いLANケーブルを使っていれば速度は出ません。カテゴリ5e以上のものを使用しましょう。
そしてWi-Fi(無線LAN)は、IEEE802.11nなどの古い規格のWi-Fiルーターを使用していたら買い替えましょう。
今は安くて高性能なコストパフォーマンスの良いWi-Fiルーターがあります。
エレコムのWRC-1167GST2なら、実売5,000円前後で購入することができ、IEEE802.11ac規格の高速転送を活かすことができます。
上記のWi-Fiなら必要十分な速度が得られます。
そして1Gbpsのサービスであれば、どんな機械も1000Mbps以上の速度は出せません。
1300Mbps以上のWi-Fiルーターを買っても、1Gbpsのサービスであるドコモ光であれば1000Mbps以上の速度を出すことはできません。
PCは性能の良いものを選択する
速度が遅いと感じるケースでは、性能の低いPCがボトルネックになっている可能性があります。
古いノートPCでメモリが8GBない、または回転数の低いHDDを搭載している、セレロンのような廉価版のCPUである、という状況だと速度が遅く表示されてしまいます。
なぜかというと、速度測定ではデータをメモリにバッファする(一時的な保存領域)して、CPUが制御して転送されたデータを処理するからです。
そのCPUやメモリに余裕がなければ、当然速度が低く表示されます。
1Gbps光ファイバーは元々遅くない
以上のように、NTTの光回線を利用するインターネットユーザーが多くなったことが原因としてありました。
そして集合住宅でインターネットをやる場合は、回線を共有するので1世帯あたりの通信速度が制限されることも、速度低下の原因でした。さらにLANケーブルやWi-Fiの問題もあります。
もっとも、速度低下の原因はこれら以外にもあり、同じ家族の中で同時に通信していればやはり速度は低下します。つまり、世帯の中でネットワークが混雑するわけです。
このようにネットワークの速度が低下してしまう要素は、現在は複数の要因が重なっている状況となっています。
しかし回線事業者も事態を放っておくということはなく、帯域増強の措置が取られています。
もちろん今すぐに速度が改善されるかというとそうではなく、混雑に応じた対応が取られるので地域による違いも出てきます。
ユーザーとしてはできるだけのことをやり、あとは回線事業者のバックボーンネットワーク増強を待ってみましょう。
1Gbps光ファイバーは元々遅くはありません。回線を使用する世帯の少ないマンションだと700Mbps程度の速度が出ます。
快適なインターネットをするには、まずはLANケーブルやWi-Fiなどのネット環境を整備し、できるだけ混雑する時間を避けることも必要になります。
事業者の速度改善、ユーザーのネットの使い方、これらが改善されていけば自ずとインターネットが快適になっていくと言えます。