大分前から企業・公共団体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていたんですが、最近その成果がユーザーの目に見える形になってきましたね。
ユニクロなどでキャッシュレスが進んでいるのは分かりやすいですし、金融機関がリアル店舗を整理してネットにシフトしています。
筆者は環境を変えるためによくビジネスホテルを使うのですが、ホテル業界もDXを頑張っているようです。
アプリでチェックインが出来るとか、ホテルによってはアプリで部屋を選択できるので活用しているユーザーも多いのでは。
そこで今回は、Suicaを使ったスマートホテルのホテル B4T 赤羽に宿泊したレビューとホテル業界のDXについてお送りします。
目次
DXで無人ホテルが普通になる?ホテルB4T赤羽に泊まってみた
B4T赤羽はスタッフ不在の無人ホテルで、チェックイン~チェックアウトまで全てSuica(モバイルSuicaもOK)で認証できます。
B4TはメトロポリタンやホテルメッツのJR東日本ホテルズ運営。1号店は2023年1月に福島のいわきで開業しています。
スタッフがいない無人ホテル
B4T赤羽の外観はこんな感じ。
1階がコンビニのNewDaysで正直最初はホテルだと分かりませんでした。
コンビニエリアの脇に入口があり、自動チェックイン機2台とエレベーターが設置。外観も入口も目立たないですね。
なのでフロントはありません。無人ホテルは「変なホテル」でわりと前から有名。都内は他にも三井やプリンスの無人ホテルがあるようです。
スタッフはリモートで対応。
部屋にあるディスプレイのQRコードを読み取るとクラウドレセプションに移動。そこでチャットかビデオ通話でスタッフが案内する仕組み。
フロントスタッフはいませんが清掃はもちろんやってるので問題ありません。
プリチェックインを済まして手続きをスムーズにする
ホテルの予約が完了したらプリチェックインのメールが届くのでSuicaをB4Tの予約システムに登録してプリチェックイン。これで当日の手続きがスムーズになります。
つまり従来のシステムで予約した後に、B4Tの「プリチェックイン→Suica認証」の専用システムを使う。
セルフチェックイン機
予約が事前決済ならチェックインがSuicaを数回かざすだけに…!
スマホがホテルのルームキーになる
前述したように、チェックインの時にSuicaをかざしてルームキーにします。
筆者はモバイルSuicaなのでスマホがルームキーになりました。
エレベーターの認証もモバイルSuicaで。
部屋のスマートロックをモバイルSuicaで開錠。
ピッという音がしてスマートに入室。
部屋に入ると自動でロックされます。
システムに慣れればチェックインから入室まで3分くらい?便利でした!
部屋は綺麗にまとまっている
泊まった部屋はダブル/シアター。
ソファーでゆっくり。デスクは広々。
流行りの風呂トイレ別で快適。
どうやら元々あった地元のホテルをリノベーションしたようです。綺麗にまとまっていて過ごしやすい。
注意点はカーテンと壁の間に隙間があって朝に光が漏れるのでアイマスクがあった方がよし。そして換気扇の音が大きいので気になる場合は耳栓を用意。
アメニティーは簡素化
ドリップコーヒー二つと電気ケトル。
ドライヤーと歯ブラシ。
バスソルト。本格的。
セパレートタイプのルームウェアだからリラックスできる。
ないものは綿棒、カミソリ、クシ、ボディタオル。そしてヘアゴムなどの女性用アイテム。カミソリも省略しているので男性はドラッグストアで安いカミソリを買っておくかシェーバー持参。
アメニティーはかなり簡素化してコストダウン。つまり持参してくださいっていうことですね。
その分他のホテルより価格設定が低め。
というわけで、チェックインから部屋に入るまで全部スマホで済ますスマートで快適なホテルでした!
DXでホテルはどうなる?
ホテルがDXすると以下のようなことが起こります。
- スタッフと運営がITエンジニアになる
- 人手不足に対応
- インフレに対応
- 宿泊の目的が変化
まあよく取り上げられる話題ですが、一つ一つ見ていきましょう。
ホテルスタッフがITエンジニア化する
無人ホテルはスタッフがリモートでITを駆使するようになります。
ヘッドセットを付けてチャットとビデオ通話はコールセンターみたいですが、言い方を変えればITのヘルプデスクやユーザーサポート。
スタッフは客の話から想像力を働かせて対応したり、回答するための資源(リソース)を見つけるためのスキルも必要。
そしてリモートスタッフだけでなく管理部や営業部などのコア部隊もある意味ITエンジニア化する。情報処理を前提にした仕事になりますし、すでにそうなっています。
考えをシステムに落とし込むにはどうするかIT部門やエンジニアと話をするので、経営全体がシステムエンジニアのようになる。
つまりテック企業化する。広報のSNS対応はただ情報を流すだけでなく、SNSファンマーケティングに変化していますよね。
人手不足に対応
まあ聞きなれた話題ですね。DXやAIが人手不足の問題に対応していく。
宿泊業界は元祖24時間365日でフロントの夜勤がキツくてやめる人が多いようです。それはネットワーク運用もコンビニも同じ。
宿泊業界で働くのは特別なスキルや経験が必要かと思いがちですが、リモート対応を行うスタッフの応募に特別な資格は不要のようです。
ホテルの運用がネットワークオペレーションセンターになり、学生スタッフがフランクにレセプションする時代になるのです。
インフレに対応
DXはインフレにも対応できます。B4TはSuica認証とクラウドレセプションの無人化、そしてアメニティーの簡素化でコストダウン。
あらゆるモノとサービスが値上がりしていくので、価格を維持するためにもDXが必要不可欠に。
特に人件費の高騰はキツい。時給そのものだけでなく社会保障費が高騰していくのでスタッフを思うように集められません。
なので無人ホテルが増えていくと思われます。
ユーザーの利用目的が変化?
筆者のビジネスホテル利用の目的は環境を変えること。いつも同じ場所で過ごしていると煮詰まりますからね。
仕事や旅行だけでなく環境を変えて心身を整えるためにビジホに泊まる。サウナみたいな感じですかね。
少ないかもしれませんが、そういう人は一定数いるんですよ。
無人ホテルはガンガン活用したい
個人的に気に入ってるので宿泊に特化した無人ホテルはガンガン活用すると思います。ただ滞在するだけなので気楽ですよね。
B4TだとSuicaを登録してプリチェックインすれば、後はスマホをかざすだけで目的を達成できます。
人によっては機械的で人のおもてなしがなくて…うーん…と評価するかも。そういう場合はJRならホテルメッツがありメトロポリタンがあります。
そして高級ホテルは専門スタッフの対応を続けるので問題なし。利用目的に応じて付加価値を求めればいいのです。
ホテルスタッフは既にITエンジニアになっていた
今回B4Tに泊まって思ったのは、ユーザーとして思いのほかメリットがあること。
インフレによるモノとサービス価格の上昇に対応できるので、ユーザーは今までと違う目的でビジホを活用できますよね。
そして、DXによってすでにホテルスタッフがITエンジニアになっています。運営自体もシステムエンジニアのようになる。
あらゆる業界がDXで高度化していくので「中の人」は大変ですが、ユーザーもついていかないと置いていかれます。
その結果、今までと違ったライフスタイルが生まれたり思いのほか良い結果になる可能性も。
無人ホテルは無機質で…とネガティブに捉えるより、自由で幅広い活用の仕方で前向きになっていいと思いました。気軽に使えるのでイイですよ!