昨今の格安SIM業界は競争が過熱して0円プランが出てきましたが、楽天モバイルがついに月額0円を廃止。ユーザーは「それならば」と言って他の格安SIMを探したことは記憶に新しいです。
その後、楽天難民はどうしましたか。多くの楽天難民は0円で維持できるpovoを選択しました。しかしpovoのau回線は大規模通信障害を起こし、電話をかけることもできない事態に。
そこで再評価されたのが老舗の日本通信。b-mobileブランドで一定の知名度を誇る日本通信は日本最初のMVNOなんですよね。
その元祖MVNOである日本通信は、b-mobileではない「日本通信SIM合理的プラン」も提供しています。この日本通信合理的プランは一体何なのでしょうか。
今回は日本通信SIM合理的プランの速度に注目し、リーズナブルで高速な日本通信SIMの使い方を提案したいと思います。
目次
日本通信SIM合理的プランの速度
日本通信合理的プランとは何ですか。
どんな速度が出るのでしょうか。
日本通信とは
日本通信は老舗MVNOであり、IIJmioなど知名度の高いMVNOよりずっと前の2000年からMVNO事業を開始しています。長らく赤字が続いていたようですが、最近は黒字に転換できたようですね。
元々ソフトバンク回線とドコモ回線に乗り入れるb-mobileメインでやっていましたが、日本通信SIMブランドで合理的プランをリリース。その中でも合理的シンプル290は月額税込290円という圧倒的な安さが注目されています。

HISモバイルの自由自在プランも音声で月額290円ですが条件は100MB未満。日本通信SIMは音声に1GB付いて290円。
なので、最低限のデータ通信量を確保しながら音声通話もできる最安レベルの格安SIMが日本通信合理的プランなのです。
合理的プランが使うネットワーク
日本通信合理的プランが使うネットワークは、ドコモ回線のLTE(PREMIUM 4G)、LTE、LTE(800MHz)、FOMA(3G)です。
ドコモのPREMIUM 4Gも含まれるので、キャリアアグリゲーション(周波数を束ねる技術)で受信の理論値が最大1.7Gbpsとなります。
理論値なので1.7Gbpsも出ないですが、電波状況が良ければ100Mbpsを超える高速通信ができますね。5Gではないですがかなり高速。
ドコモ回線なので対応エリアも広く、多くのユーザーが満足して使えるでしょう。
速度測定の検証環境
速度測定の検証環境は以下の通り。
- 東京都内
- 集合住宅ベランダ近く
- 端末はiPhone 6s,Xiaomi Redmi Note 11
一般的な住宅街で測定しました。
日本通信合理的プランの速度
日本通信合理的プランを速度測定して一番良かった測定結果は以下の通り。

下り65Mbps上り41Mbpsでした。ping応答が下り531msなので若干遅延あり、ジッターは16.6といいとは言えませんが気にする人はほとんどいないでしょう。
夜19時台に60Mbps以上出ていれば満足ですよね。MVNOなので遅延や揺らぎなどの品質はどうしてもキャリアより劣りますが、下りも上りも高速なので問題ありません。
安定のドコモ回線という感じでパフォーマンスは良好でした。この時の端末は検証用のXiaomi Redmi Note 11で、エントリーモデルでもなんら問題なく高速通信できます。端末や地域によって速度は変わるので試してみてください。
日本通信合理的プランのランチタイム速度
ではランチタイム速度を見てみます。
左は平日12時34分のもので端末はiPhone 6s。ping応答もジッターもよくないですね。ただランチタイムにもかかわらず下り39Mbpsを記録。MVNOでこのパフォーマンスは凄いです。
右は同じような時間帯ですが、タイミングが悪いのか下り8Mbps台、上りも1Mbps台とそれほど高速ではありませんでした。
とはいえMVNOだとランチタイムは1Mbpsかそれ以下の場合がほとんどなので、日本通信SIMのパフォーマンスの良さが際立っています。
平日12時半過ぎに40Mbpsを記録するMVNOは珍しいですよね。これでシンプル290なら月額290円。相当コストパフォーマンスはいいです。
時間帯を選ばずパフォーマンスよし
以下は平日15時台の測定結果。

下り52Mbpsで高速、ping応答やジッターもそれほど悪くないですね。混雑時間帯でなければ遅延や揺らぎは悪くないので、普段使っている分には十分でしょう。
日本通信合理的プランは平日ランチタイムも午後も夜間もパフォーマンスよくデータ通信することができました。
5Gにこだわらなければ良質な音声SIM
見てきたように、日本通信合理的プランは回線の乗り入れに他のMVNOのような極端な制限が見られないわけです。MVNOの弱点はランチタイムの速度低下ですが日本通信SIMは高速ですね。
ただ日本通信合理的プランに5Gオプションはありません。4G LTEのみです。とはいえ、5Gは電波が安定しないので今のところ必須ではないです。
4G LTEで数十Mbps出ていれば高画質動画の再生もできますしライブ配信もできる。データ容量が欲しければ6GBのみんなのプラン月額1,390円、20GBプラン月額2,178円もあります。
20GB2,178円はahamoの2,970円と比べても断然安い。シンプル290からみんなのプランや20GBプランに変更もできますしね。
通話料はキャリアの半額である11円/30秒。テザリングや国際ローミングもできて、さらにeSIMにも対応しています。高コスパな格安SIMを求めるユーザーにはうってつけでしょう。
日本通信合理的プランの使い方
日本通信合理的プランの速度を見てきました。月額290円から料金の良好なパフォーマンスを得られることが分かりましたね。
ではこの日本通信SIMをどのように使いますか。
また、どんな注意点があるのでしょうか。
SIMの組み合わせで音声を安くする
最近は物価高騰で日常の支払いがキツいなと思うことがあるかもしれません。通信料金もできれば下げたい。とはいえある程度の品質も確保したい。まさにそんな需要に応える格安SIMが日本通信SIMですよね。
そこで日本通信SIMだけでもいいですが、他の格安SIMと組み合わせるとデータと音声の総額が安くなります。
例えば楽天モバイルの対応エリアに不安があるなら、音声を日本通信SIMにして楽天回線でデータ無制限にする。この場合ahamo大盛り(4,950円)より安いです。
キャリア | 料金 |
楽天モバイル最大3,278円+日本通信290円 | 3,568円 |
ahamo大盛り | 4,950円 |
楽天モバイル+日本通信SIM
あるいは、mineoの音声にそのままパケット放題 Plus(1.5Mbpsの使い放題3日10GB制限あり)を付けるより、mineoと日本通信を組み合わせた方が安くなります。
キャリア | 料金 |
mineoデータ1GB880円+パケット放題 Plus385円+日本通信290円 | 1,555円 |
mineo音声1GB1,298円+パケット放題 Plus385円 | 1,683円 |
mineo+日本通信SIM。まあ上記は若干安くなる程度ですけどね。
小容量ならHISモバイルのデータ3GB580円と組み合わせるといった方法もあります。
要は、そのままキャリアの音声SIMでデータ通信をするより、日本通信SIMを組み合わせるとさらに安くすることが可能。面倒でなければこういうやり方もあるということです。
音声SIMの二重化
携帯キャリアの大規模通信障害が起こっている昨今、モバイル回線を二重化することも検討できます。データ通信だけではなく音声SIMでさえも冗長化した方がいいかもしれません。
2022年に起きたau回線の障害は音声通話ができなくなりました。携帯で緊急通報ができないこともあると危機意識を持ったユーザーも少なくないでしょう。
日本通信SIMだと290円から音声SIMを契約できるので音声回線を二重化して障害に備える使い方もできます。Androidだと物理SIMが2枚使える端末もあります。
音声回線を格安で維持できる
データ通信専用SIMはb-mobileの190PadSIMがありますが、もし音声回線を格安で維持したいと思うなら日本通信合理的プランでしょう。
ほとんど電話番号宛てに電話をしないでLINEやSkypeなどの無料通話をする、またはZoomなどのビデオ会議はするけれども電話はしないというユーザーもいるかもしれません。
そのような、そもそも電話をあまりしないけれども念のために音声SIMを維持しておきたいユーザーは日本通信SIMを契約しておくといいです。
海外にも対応
日本通信SIMは海外対応。国際ローミングでデータ通信ができますし通話もできます。料金は高いですが別途モバイルWi-Fiをレンタルしなくても構いません。
最近はなかなか海外旅行に行くのも難しくなっていますが、もし仕事などで海外に行く場合も日本通信SIMがあればOKです。
法人向けプランもある
企業や個人事業主が通信費を経費にしたい場合、法人向けの日本通信合理的プランを選んでください。プランは6GB、20GB、3GBかけ放題プランがあります。
法人向けは1GB290円のプランはありませんが、2,728円のかけ放題プランで仕事の電話をガンガンかける選択肢もあります。
必要なら上限設定をしておく
日本通信SIMはデータ量を使いすぎないようにデータ量の上限設定ができます。データ料金は1GBあたり220円。しっかり1GBだけにしたい場合は上限を1GBにしておいてください。
日本通信SIMの注意点
日本通信SIMの注意点は以下の通り。
- 5G非対応
- 通話定額は安くない
- ドコモ回線のみ
- データくりこし未対応
- LINE ID検索非対応
- キャリアメールなし
MVNOのデメリットは普通にあります。メールアドレスはもちろんないですし、くりこしもできません。定額のかけ放題プランがありますが、楽天モバイルのように0円でかけ放題はできません。
当然ですが全部のせで至れり尽くせりなら料金は高くなるので、シンプルに最低限の使い方ができればいいと考えるユーザーに向いているでしょう。
特に通信障害用のバックアップ回線や、音声回線を格安で維持したい、そもそも携帯料金を圧倒的に下げたい場合に日本通信SIMは役立ちます。
モバイルを合理的に考えたいなら日本通信SIM
物価の上昇が続いているので、なんとか通信費を下げたいと思っているインターネットユーザーはたくさんいるでしょう。
今まで携帯電話料金は高額でした。特にiPhoneやスマートフォンが主流になると月々に支払う料金が1万円を超えたユーザーがたくさんいましたよね。
月10,000円が日本通信だと290円になるわけですから、合理的にコスト削減したいなら断然日本通信SIMということになります。5G非対応やくりこしなしなどの注意点もありますが、10,000円が290円になるなら割り切れますよね。
これからどんどんモノやサービスの値段が上がっていく時代、日本通信のような格安SIMでコスト削減するインターネットユーザーはモバイルライフをさらに強化できるでしょう。